ストレージの設定の詳細を教えて
TrueNAS SCALEでのストレージ設定は、システム全体のパフォーマンスやデータの信頼性に直接影響する重要な部分です。以下はストレージ設定の詳細な手順とポイントです。
1. ディスクの確認と追加
Webインターフェイスでログイン後、左メニューから「ストレージ」をクリックします。
システムが認識しているすべてのディスクがリストアップされます。新しいディスクをNASに追加した場合は、ここでディスクが表示されることを確認してください。
2. ZFSプールの作成
TrueNASはZFSファイルシステムを使用しており、これに基づいてプールを作成します。ZFSはデータの冗長性やスナップショット、圧縮など高度な機能を提供します。
手順:
1. プールの作成
「プールの作成」ボタンをクリックします。
プールに名前を付け、使用するディスクを選択します。
2. VDEVの選択
ZFSでは複数のディスクを組み合わせてVDEV(Virtual Device)を作成します。これにより、異なるRAIDレベルを使用してデータ保護とパフォーマンスを最適化します。
以下のオプションから選択可能です:
Stripe(RAID 0相当):複数ディスクにデータを分散して書き込み、パフォーマンス向上。ただし、1つのディスクが故障するとすべてのデータが失われます。
Mirror(RAID 1相当):ディスクの冗長性があり、データが複数ディスクにミラーリングされます。1つのディスクが故障してもデータは保護されます。
RAID-Z1:1台のディスクが故障してもデータが保護されるパリティ付きのRAID。
RAID-Z2:2台までのディスク故障に対応可能なパリティ付きのRAID。
RAID-Z3:3台までのディスク故障に対応可能。
3. プールの確認
ディスク構成を確認し、プールの設定を完了します。
「作成」をクリックするとプールが作成されます。
3. データセットの作成
ZFSでは、プールの上に「データセット」を作成してデータを管理します。データセットは、フォルダのような役割を果たし、各データセットごとに圧縮やスナップショットの設定を細かく制御できます。
手順:
1. データセットの作成
プールを選択し、「データセットの追加」をクリックします。
データセットに名前を付け、使用するプールを選択します。
2. 圧縮と圧縮アルゴリズムの設定
データセットごとに圧縮を設定できます。デフォルトでは「lz4」圧縮が推奨されます。データの種類に応じて、圧縮率やパフォーマンスのバランスを考慮して選びます。
3. データ保護設定
データ保護(冗長性やスナップショット)の設定もここで行います。TrueNASでは定期的なスナップショットを作成することが可能です。
4. スナップショットの設定
スナップショットはZFSの強力な機能の1つで、データの特定の時点のコピーを瞬時に作成することができます。
手順:
1. スナップショット作成
「ストレージ」セクションのプール画面で「スナップショット」を選択します。
スナップショットを作成するデータセットを選び、スナップショットの名前を指定して作成します。
2. スナップショットスケジュール
スナップショットを自動的に作成するようスケジュールを設定することも可能です。頻度(1日1回、1時間ごとなど)や保持期間を設定できます。
5. ディスクのS.M.A.R.T監視
S.M.A.R.T(Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology)は、ディスクの状態を監視して障害を早期に検出するための技術です。TrueNASはS.M.A.R.Tを使用してディスクの健康状態を管理できます。
手順:
1. S.M.A.R.T設定
左メニューの「ストレージ」セクションから「S.M.A.R.T」タブを開きます。
各ディスクに対してS.M.A.R.T監視を有効化します。
2. 通知設定
S.M.A.R.Tが問題を検出した際に、メールなどで通知を受け取る設定を行います。
6. 共有フォルダの設定
プールやデータセットを作成した後、それを他のデバイスと共有するために、共有フォルダを設定します。
手順:
1. SMB(Windowsファイル共有)設定
左メニューから「共有」をクリックし、「SMB」を選択します。
新しい共有を作成し、共有するデータセットやフォルダを指定します。
アクセス権限やホスト制限などを設定し、共有フォルダを有効にします。
2. NFS(Linux/Unixファイル共有)設定
同様に「NFS」を選択し、LinuxやUnixベースのシステムとのファイル共有を設定します。
7. キャッシュとARCの設定
TrueNAS SCALEはメモリ(RAM)をキャッシュとして使用し、ZFSのパフォーマンスを向上させます。これを**ARC(Adaptive Replacement Cache)**と言います。必要に応じてキャッシュのサイズや設定を調整することが可能です。
手順:
「システム設定」から、ARCのサイズ制限やキャッシュの調整を行います。
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このストレージ設定が完了すれば、TrueNAS SCALEは効率的で冗長性の高いデータ管理を行うことができます。
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